
比較的近年に刊行された地域研究に関連する本を広く紹介します。タイトルをクリックすると出版社サイトを見られます。

Triplett, Katja, Yoshimi Orii, and Pia Jolliffe (eds). 2025. Japan in the Early Modern World: Religion, Translation, and Transnational Relations. Berlin; Heidelberg: J. B. Metzler.
Adopting an interdisciplinary perspective, this volume explores religion, translation, and transnational relations in the context of the colonial and missionary enterprises involving Japan, between 1550 and 1800.

中西聡著『山の富豪の資本主義:「資源国」日本の近代』(名古屋大学出版会、2025年)
山がもたらす豊富な材料やエネルギーは、近代日本の産業化をいかに支えたのか。建築業・工業への貢献から水力発電・ガスなどのインフラ開発、銀行・投資事業まで、近世以来の林業・鉱業資産家が果たした役割を徹底的かつ精緻に解明。

鄭浩瀾編著『流動する中国社会:疎外と連帯』(慶應義塾大学出版会、2025年)
国家と社会の相互作用に焦点を当てながら、20 世紀中国を舞台に、国家権力と土着的な社会連帯が織りなす複雑な関係性を描き出す。

中西嘉宏・永井史男・河野元子編『東南アジア政治へのアプローチ―君主制・統治・社会経済』(晃洋書房、2025年)
深い現地理解に根ざした方法で君主制、統治、社会経済を論じる。

古田和子・太田淳編『アジア経済史』全2巻(岩波書店、2024-25年)
東アジア・東南アジア・南アジアを俯瞰する最新のテキスト。人びとの営みの総体としての経済の歴史を描く。上巻は16世紀から19世紀、下巻は21世紀初頭までを扱う。

師田史子『日々賭けをする人々—フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』(慶應義塾大学出版会、2025年)
フィリピン社会に深く根ざす賭博実践に注目し、人々が不確実性に身を委ねる姿を通して「賭ける」ことの意味を文化人類学的に考察する。

菅野智博 『満洲の農村社会—
流動する労働力と農家経営』(慶應義塾大学出版会、2025年)
労働力移動と農家経営を中心にミクロな分析を行ない、 19世紀末から中国共産党の土地改革時期までの満洲社会像と農村経済の歴史的展開を浮き彫りにする。

吉田航太『ゴミが作りだす社会—現代インドネシアの廃棄物処理の民族誌』(東京大学出版会、2025年)
著者による参与観察をとおして、まがりなりにもうまくいっているゴミ処理インフラの成り立ちを明らかにし、そこに誰もが想定しないテクノロジーの可能性を見出す。

中野真備『海を「視る」技術—インドネシア・バンガイ諸島サマ人の漁撈と環境認識』(京都大学学術出版会、2025年)
漁場の名、岩の名、岬の名…それらの言葉をひとつひとつ収集し、ナヴィゲーションに関わる言葉の体系を編み上げた「漂海民」の環境認識に言葉から迫る。

持田洋平『移民社会のナショナリズム—シンガポール近代華人社会史研究』(風響社、2024年)
植民都市の巨視・微視から、清末アジアの拍動するネットワークを描く。それは「華人」という自意識の誕生した瞬間でもあった。

田島俊雄・加島潤・湊照宏 編著『冷戦期東アジアの経済発展――中国と台湾』(晃洋書房、2024年)
戦後東アジアの経済発展はいかに実現されたのか? 冷戦下の中国と台湾における工業化の軌跡を検証

佐川徹・竹沢尚一郎・松本尚之編『歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史―現代アフリカにおける暴力と和解』(春風社、2024年)
アフリカにおけるさまざまな紛争や暴力の論理と動態を、「無秩序」や「野蛮さ」のイメージから距離を置きつつ、その政治経済・歴史的側面に注目しながら解き明かす。

小林知編『カンボジアは変わったのか』(めこん、2024年)
1993年、カンボジアでは内戦が終結し、統一選挙が実施されました。それから30年。国際社会が後押しした民主化の道はカンボジアの人びとに何をもたらしたのでしょうか。

鄭浩瀾編著『革命と親密性 毛沢東時代の「日常政治」』(東方書店、2024年)
「毛沢東時代」において、「普通の人々」の、夫婦、親子、職場の同僚・友人、村落内の人々との関係はどのように変容し人々はそこになにを感じていたのか。

松沢裕作著『歴史学はこう考える』(筑摩書房、2024年)
史料とは何か? 解釈が複数になるのはなぜ? 安易な議論に振り回されないために、歴史家が築いてきたこれらの理屈を学べば、歴史の解像度がもっとあがる!

大久保由理『「大東亜共栄圏」における南方国策移民—「南方雄飛」のゆくえ』(晃洋書房、2023年)
「大東亜共栄圏」の「建設」をうたい、「異民族との共存共栄」をタテマエとした聖戦イデオロギーを、民衆はどのように受容し、あるいは受容せずにどう行動したのか。
